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【カメレオン日記2010】・・・2010年に書いたものです。

ごゆっくりどうぞ・・・※日記は新しい順になっています



魔女のカメレオン日記

     わたし琵琶湖の漁師です
         
         戸田 直広  箸
         光文社新書 ¥680円
滋賀県が第二の故郷になって、歴史ばかりに目がいっていたが、この本に出会って四十万年の時を経た琵琶湖の凄さを知る。

琵琶湖には五十七種の魚類と四十九種の貝類がいるというこれだけ多くの生き物が住んでいる湖は、琵琶湖だけだそうです。
また五十七種の魚類の中には食害を及ばしている外来種も含まれていて、琵琶湖の固有種 は十五種類で、ニゴロブナ・ゲンゴロウブナ・ホンモロコ・ビワマス・ イサザ・アユは私も知っている、琵琶湖の魚だが・・その魚たちが少なくなったという。

それは外来種であるバス・ギルが稚魚を食べてしまうから・・いま南湖には琵琶湖の固有種はいないという。

お天気のいい日きれいに整備された湖岸には、親子ずれで釣りを楽しんでいる風景は、なんとも平和な眺めだが・・釣れた魚(バス・ギル)を可哀そうだからといって、又琵琶湖に戻す。このリリースが外来魚の繁殖の原因なのかもしれない。

人間は便利ばかりを追いつずけ、湖岸をコンクリートで固め魚たちの産卵の場所であったヨシを無くしてしまったのだ。この本を読んで人間の愚かしさを知る。子供連れで釣りを楽しむ、若いパパさん、ママさん是非この本を読んで下さい。


魔女のカメレオン日記

       松竹大歌舞伎
              歌舞伎の見方
             歌舞伎十八番の内
             鳴  神
             俄 獅子

ミュージカルが好きで、観るのは劇団四季が多いのだが、今回は踊りをしている友人にさそわれ、歌舞伎見学となる。

歌舞伎というとなんとなく堅苦しいイメージがあるが、まず初めにイケメンの役者が歌舞伎の魅力を解りやすく解説してくれる。
歌舞伎とは歌・舞・技とあるように、音楽・舞踊・そして演者の技が三位一体になった総合芸術という。太鼓の音でいろいろな意味を表す雨・風・雪・また演者の衣装や、色、化粧、で感j情の変化を表す。

西洋的感覚では、赤=情熱だが日本的には赤は品の良さ、水色=若さ、紫=色っぽさ、白=霊的と解説があり、『鳴神』は八世市川団十郎以来、上演が途絶えていたが、明治四十三年(1910年)ニ世市川左團次が復活上演したあと、人気演目となる。

鳴神上人が雲の絶間姫の色香に迷い堕落するという、人間の煩悩が主題のストーリーで、前半は妖艶な雲の絶間姫に心惹かれて行く鳴神上人の堕落への過程はユーモラスであり、

後半は姫に騙されたことを知った鳴神上人が怒り狂う、荒事の場面となり、顔はくまどり、衣装は火焔模様、髪は逆立ち 様相が一変して大見得、立ち回り、凄みと迫力ある舞台となる。歌舞伎もいいですね。












魔女のカメレオン日記

   パーマネント
      野ばら

     
      西原理恵子 作
      新潮文庫    \400

今年の暑さは特別で・・あまりの暑さにぼーとしたまま本屋にとびこみ・・西原理恵子コーナーに・パーマネント??懐かしい!!ぼーとしたまま、本を買う。

彼女の著書 この世でいちばん大事な『カネ』の話 を読んでから、彼女に惚れ込んでいる。私の娘の年頃の彼女だが、なんとも素晴らしい女性だ。

港町に美容院(パーマネント野ばら)がある、ここは女のざんげ室でまいにち村の女建ちが恋の話や男に裏切られた話や小さなウソや記憶を告白していく。
大人になって解ったこと・白馬の王子様は探せばどこかにいると、思ったけど、何処にもいない。

アレはツチノコと一緒や・人は二回死ぬ一回目は生きるのがやまってしまう時、二回目は人に忘れられた時・なんとも含蓄のあるフレーズ・俗っぽいダメな恋も可愛らしくなんとも抒情的なのだ。

漫画というとなんとなく引いてしまう、大人特に女性におすすめです。迫力ある絵と台詞のうらに漂う情感はなんども読みかえすことで味がでる。是非一読を・・・

 魔女のカメレオン日記

        七つの人形の恋物語
            ポール・ギャリコ
             矢川 澄子 訳
         角川文庫  ¥514円

この作者とは二度目 の出会いだ。≪ほんものの魔法使≫
も大人のファンタジーであったが・・この本に収められている≪スノーグース≫は1941年に発表され、当時のベストセラーとなったという。

清冽な抒情で悲しいまでのストーリーです。七つの人形の恋物語は、若い娘が人生に疲れ、お金も無く絶望のあまり、セーヌ川に身を投げるため急ぐなか、何者かに声かけられ・・
よく見れば人形芝居の舞台に人形がひとつ台上にのっかっていて、その人形が話しているのだ・・娘はこの人形一座と旅に出る事になる、そして七つの人形をとうして男の悪と善を知ることになる。若い女性に是非読んでほしいと思う。

魔女のカメレオン日記

     ペギースー !魔法の瞳をもつ少女
    
     セルジュ・プリュソロ
      金子ゆき子  訳
      角川文庫  ¥
世界中でおこるいろいろな事件や事故は、実はお化けが引き起こしていると、いう。この不気味なお化けが見える、という14歳の少女がが主人公で、彼女は幼い頃から、お化け達が見えた。

それははるか遠く宇宙の彼方にいる妖精がかけた魔法によるもので、妖精はお化けを焼き焦がす魔法の眼鏡もくれた。しかも、お化けたちをやっつけるという重大な任務まで与えられる。

ただ一人お化けが見えるということで、お化けから嫌がらせや脅迫をうけ、不思議な能力のために、家族や友人から変人扱いされるようになる。続発する不気味な事件・・・青い太陽の出現・突然天才になる子どもや・知性を持つ動物たち・・もし自分にお化けを見る能力があったら?想像するだけで恐ろしいことです。14歳の少女が如何に戦うか・ワクワク・ドキドキです。

このファンタジーはフランスの作家セルジュ・プリュソロが2001年に発表したもので、人気作家が初めての子供向けファンタジーを書きおろしたとあって、フランスではベストセラーとなり、ハリーポッターの妹の登場と大変な人気という。暑くて眠れぬ夜は、ペギースーを読みましょう。


魔女のカメレオン日記

   コーラスライン 劇団四季

久しぶりのミュージカルである。何年か前に見た時、胸おどり、夢を夢で終わらせないぞーと感じた若い自分を思い出し、今の自分にもあの感動をくれるだろうか?場内は若いダンスの好きそうな人たちでいっぱいだ。

[コーラスライン]の日本初演は1979年で今年30周年記念公演だという。またブロードウェイ初演は1975年でほぼ15年にわたるロングランであったという。

(コーラスライン)は、ダンサーたちの物語で、それもミュージカルの主役を選ぶオーディションでなく、主役を囲む、ダンサーたちのオーディションである。第一次の選考が終わってオーディションに勝ち抜いた17人の俳優たちが、さらに[コーラスライン]の舞台上で、オーディションを受けるという二重構造のストーリーで、17名のダンサーたちは、[履歴書に書いていないことを話してもらおう。君たちがどんな人間なのかー] 演出家の要望にこたえて、これまでのダンス歴や演劇との関わりを、一人ずつ語っていく、その構成のうまさに魅了される。ドラマは人生そのものに踏み込んでいく。

ダンス を楽しみながら、同時にアメリカ社会の人種や地域の多様性、自己表現力の重要性を考えさせられる。

(生きてきた日々に悔いはない)と高らかに歌われ、ラストの華やかなショー・アップは全ての人に与えられる、人生讃歌に思える。素晴らしい、又見たくなる。




魔女のカメレオン日記

    ふたごの魔法つかい
      ガラスの城

        川北 亮司・・作
       ふりやかよこ・・画
       フォア文庫・・¥560円
可愛い挿絵にひかれて、手に取る。≪ふたごの魔法つかい≫シリーズで五作めらしい。

主人公の少女はふと手にした本がきっかけで、クラスの男の子たちにからかわれ、自信をなくしているとき、占い師に姿をかえた魔法使いによって別の世界に生きるもう一人の自分に出会う。

悩みがきっかけで本当の自分さがしをする、女の子のお話です。血液型や生年月日による占いは大流行りですよね・・あなたは信じる方ですか?・・
おなじ年の日本人で血液型がおなじ、星座、生まれた日もおなじ・という占いなら・・これはもう絶対にわたしだけの運命だと思い込んでしまいますよね?

私と同じ運命の人は、統計学によると、いちばん少ないAB型で何人・いちばん多いA型なら何人と計算することが出来る。となるとそれだけで運命がまったく同じく定められている?考えられませんね・・つまり占いとは、それに身を委ねてしまうものではない・と思う。あるかも知れない異次元・そしてまた占いという現実について勉強させてくれる本です。暑い真昼に本を読み、目が疲れて、少しまどろむ・・夢の世界に遊ぶ、時間がたっぷりある方おすすめです。

魔女のカメレオン日記
 
        火垂るの墓
        野坂  昭如 箸
        ポプラポケット文庫
             ¥670

毎年八月になると、この本を取り出す。読むためでなく、思いだすために・・確かめるために・・・戦争を風化させないために・・

主人公の清太は私より少し上で、私も同じ体験をしている。この本が直木賞を取ったとき、読み、あまりの生々しさに、読みつずけることができず、気を取り直して、何回かで読み終えた事をおもいだす。そして又今も、私の中で、あの戦争はまだ終わっていないと知る。

食べ物が溢れている今、食べ物がない状態は想像出来ないことだろうが、今の日本の農業を少し勉強すれば、もし戦争になれば、たちまち日本国中餓死者が溢れると解るだろう。全ての人たちにこの本を読んで欲しいと思う。

作者があとがきに書いているように、本気で、戦争について・餓えにつて・考えてほしいと思う。本当に戦争はしてはならない、絶対に・・・

魔女のカメレオン日記
      
     コララインとボタンの魔女

        ニール・ゲイマン
        金原 瑞人・中村 浩美 訳
        
コララインは古い屋敷を改装したアパートに引っ越してきたばかりの女の子、ずいぶん古い家で、屋根の下には屋根裏部屋、地下には地下室があり、庭には古くて大きな木々が生い茂っている。

古い井戸もある。この古い家にはほかにも住人がいる。両親はコンピュータの仕事をしていて、たいてい家で仕事をしている。コララインは客間のドアの向こう側に入り込んでしまった。

レンガの壁でふさがれているはずのドアのむこうには、コララインの世界にそっくりの『もうひとつの世界』があった。
よーく似ているけれど、どこか奇妙で、ボタンの目をしたママは、どう見ても本物とはちがうのに、〈もう一人のママ〉といわれれば、なんとなくその気になってしまう・・・

作者はアメリカコミック『サンドマン』の原作者で世界幻想文学大賞・ヒューゴー賞・ネビュラ賞など、数々の賞を総なめにした。また3Dのアニメ映画化されるという。是非見たいですね。  


魔女のカメレオン日記

       美しき挑発  レンピッカ展
                本能に生きた伝説の画家
             兵庫県立 美術館


今ほど女性が自由になった時代でも、彼女ほど自由に生きられるだろうか?というキャチフレーズにひかれて、見に行く。

美術館はあの神戸震災のあと、建て替えられたとのこと、大変モダンで、なによりも、ロケーションがいい、神戸鉄鋼の跡地という。

3Fが展示館になっている、珍しく中年女性が多い。ハリウッドの女優にも負けない、美しい肖像写真が飾られ、絵画展には珍しい雰囲気である。

彼女はワルシャワの良家に生まれ、思春期をロシア・スイスですごし、18歳で結婚するも、ロシア革命でパリへ亡命1920年代のパリは、女性がコルセットから解放され、社会に進出し始めた時代。

彼女は亡命貴族や財界人、文化人などの肖像画を描き、独特の画風で人気を得る。私生活ではモデル達との数々のスキャンダルで浮き名をながした。愛人のなかには女性もいた。

その女性を描いた作品は官能的な肉体描写で新鮮な輝きを放っている。彼女の作品は個人コレクターや画廊、美術館と世界中に点在しており、一度にまとまった点数を見ることは珍しい らしい。



したいことをする・生きたいように生きた彼女も人生の後半、うつ、になり修道院に入りたいと願ったらしい。作風が変わっていく中、修道院長の涙を流した肖像画は、彼女の苦しみの深さが伝わり、見るがわも、苦しくなるほどだ。自由に生きることの意味を思いながら、帰路につく







魔女のカメレオン日記

    真夏の夜の魔法
       ジェイムス・P・プレイロック 著
           増田 まもる  訳
               創元推理文庫 ¥800
舞台はアメリカ西海岸の港町ですが、われわれの住む世界とは、違うようだ。

三人の孤児、ポピー・ジャック・ヘレンの冒険物語りで・この港町に十二年ごとにめぐってくる〈夏至〉にやってくるカーニバル、それは過去と現在と未来がひとつになる夢の国なのだ。

巨人の靴が流れ着き、人魚のような生き物が釣り上げられ、ネズミの仮面をつけた小人が走り、巨大ヤドカリが大移動し、墓地があばかれ、死体が消え、

ジャックはネズミほどの大きさの小人からタンポポとタールと海のにおいのする液体の瓶をもらい、ヘレンは孤児院の屋根裏部屋で老婦人の幽霊に出会い、三人はすべての夢がかなうという≪夢の国≫へ・・

今まで読んでいたファンタジーは題材が剣と魔法とドラゴンと一角獣であったが、アメリカ・ファンタジーは少し違う・カーニバルとか夏至、ハロウィーン等である。アメリカファンタジーはおもちゃ箱をひっくり返したような楽しさでした。

魔女のカメレオン日記

     弱酸性美容シンポジューム

二年に一度の全国弱酸性美容協会のシンポジュームのために、東京にきている。二年前は北海道サミットで、ものものしい警備であったことを思い出す。

あの時の首相は?・・あれから何人変わったかなーと思いながら、後楽園の会場へ・・会場は満員で、二年に一度しか会わないあの顔、この顔、皆元気である。ジュパンスのおかげね・・と挨拶。

ステージは、≪ベル・ジュバンスとデトックス2010≫富山大学の田澤 賢次先生による,講演で先生は毎回デトックスについて研究発表される。今回はくすりの違い、技術者の違いとより深い研究発表がなされる、示される数値の違いに、ああもっと勉強しなければ・と心を引き締める。

≪自分を育む脳科学・考える力とこころ≫日本大学院の林 成之先生による講演・・先生は人間の思考メカニズムの解明で、北島康介の連続金メダルの偉業を支えた『勝負脳』の開発で,競泳日本代表陣に『世界で勝つための脳科学戦略』を伝授。脳はそこまで、解明されているのだ。

本当にビックリである。先生の著書≪脳に悪い7つの習慣≫を買う、帰りの新幹線で読みたいと思う。東京はいつも元気をくれる。時々は元気を貰いに来なければ・・


魔女のカメレオン日記

     この世でいちばん大事な
          『カネ』の話

           西原理恵子
        理論社 ¥1300
       
子育ての頃、冷蔵庫の扉に『お金は天から降ってはこない』と張り紙をしていた。
それは自分への戒めであり、また子供たちえの教訓でもあった。

今、まわりを見渡せば、お金の教育を受けなかった、大人、子供がなんと多いことか、この本に出会って、是非孫に読ませたいと思い買入、私も読んでみる。

なんと素晴らしい女性・彼女の本は読んだことがないが、これからぜひ読んでいきたい。彼女は自分の人生を赤裸々にかたることで、今の若者に語っていること、(覚えておいて、働くこと、働きつずけることが≪希望≫になる。毎日、毎日、働くことがわたしの祈りである。

と、本当にそうですね・人間は生産し、消費し、始末をするのが人生の意味らしい。全ての若者に読んでほしいと思う。今夏テレビ化されるとのこと、楽しみです。

魔女のカメレオン日記

    加藤  登紀子
            コンサート

毎年母の日は二人の息子のお嫁さんから私の大好きな赤ワインを貰う。

その日、私は好きな料理を造り、テーブルセッティングをし、灯りをおとして、音楽をかけ、一人ワインをのむ。なんとも幸せなひと時で・・翌日は二日酔いに悩む、というのが恒例の母の日であるが、今年は加藤 登紀子 コンサートのチケットのプレゼントである。

嬉しいですね・・久しぶりのコンサートである。会場は琵琶湖ホール・琵琶湖を背におしゃれな建物で、最高のロケーションにある。会場に 入って驚く、杖を突いている男女が多い。45周年という時の流れを感じる。

彼女には時が止まっているような若々しいお登紀さんの登場に又驚く。ステージは過去と未来をつなぐこと、それが45周年のテーマとのことで、琵琶湖周航の歌に始まり・さくらんぼの実のる頃・枯葉・ミラボー橋の下でと彼女の原点であろう古いシャンソンをききながら、
若い頃、少し左で、人生を,世の中を、 斜めから見ているような、彼女に共感して、≪ほろ酔いコンサート≫を追いかけていた頃を思い出している、自分がいる。

人は50歳までは仕事・子育てと生きることに、一生懸命で何も見ていない時があり、60歳にならなければ、見えないものがある。彼女も人生の伴走者を失い、男の気持ちも解るようになったということで、≪男情歌≫アルバムをリリースするという。

身も心もまるくなった、お登紀さんにブラボーを・・人生を引き算で考える年になったわたしに、もうワンステージ あるよとエールをもらう。ありがとう・サンキュー。 

魔女のカメレオン日記

       わたしが
       幽霊だった時
          ダイアナ・ウイン・ジョーンズ
                浅羽 英子 訳
       創元推理文庫    ¥ 640円 

ちょっと変わった、ファンタジーです。まず幽霊が主人公です。大抵の幽霊話は、主人公が生身の人間で、幽霊に苦しめられたり、友達になったり・・が定番だが・・この本は最初から最後まで幽霊の目で語られる。

この幽霊は自分が誰なのか?よくわかっていない。なぜそこにいるのかも、わからない。ある四人姉妹のひとりというのは確からしいのだが、はたしてその中の誰なのか?どうやら脳味噌に実体がないぶん、記憶力がないらしい。

この哀れな幽霊より、出てくる人々のほうが変である。四人姉妹に至っては変を通り越して、本当に怖い。この姉妹にくらべて、幽霊には迫力がない。幽霊の頼りなさ、姉妹の変人奇人ぶりはユーモラスでさえある。

だんだんと事情がわかってくると、後半は違った方向を取り出す。七年という時空間を往き来し、血と人間の欲望を食べて生きてきた、古代の女神と姉妹の対決に焦点がしぼられていく。姉妹がそれぞれの個性を発揮しつつ、自分たちの一人を救おうと体当たりになっていく後半は読みごたえがある。この本もじっくり、もう一度読み返したい。

魔女のカメレオン日記

 十三参り       
      京都嵐山・法輪寺

今年も我が家のセレモニーである、十三参りの日である。

五人の孫の内一人の女の子です。去年からあれこれと、晴れ着の準備をして・・ついに今日です。

わくわくしています。肩上げをしなくとも、普通寸法の振袖が着られる。十三歳で大人並みの体格で、もう大人なのだと、へんに感心する。

京はたいへんな人出で、法輪寺まで二時間もかかる。女の子は皆振袖で、ほんとに可愛い。大人になるのは、女の子が早いらし。

長い渡月橋をしゃなりしゃなりと渡る、後ろをついていけば、今年も中国からの観光客がおおく、かの国の景気の良さを感じる。橋を渡り切るまでに四人の人にモデルを頼まれたと、孫は得意げだ。良いお参りでした。賢い女になってと・・祈る        


魔女のカメレオン日記

         九年目の魔法
          ダイアナ・ウイン・ジョーンズ
                浅羽 英子 訳
         創元推理文庫  ¥ 940円

  
大学の休暇で家に帰ったポーリィは、自分の記憶が奇妙な二重性を帯びていることにきずく。確かに読んだはずの本の内容が違っていたり、見慣れていたはずの写真の印象が、記憶とずれていたり、学校のことも、家族のことも、友達や、ボーイフレンドのことも、本当にあったことのはずなのに・・・

思い出の向こうに見える別の記憶・・なぜ現実に対応しない記憶をもっているのか?どちらが本当の自分の記憶なのか?真相を求めて、ポーリィは幼い頃の出来事をもう一度順番にたどりはじめる。

現代のイギリスを舞台に、少女と魔女の九年間を描いた物語・・読み始めたら、やめられないのと、本の中に登場するさまざまな≪本≫を読まないと・・・『若きタムリン』・『詩人トーマス』・『金枝篇』・そして馬・車・写真といった小道具の意味・・疑問を解く鍵となっているこれらの本を読んだあと、もう一度読み返したい。妖精譚に精通した人はいろんな仕掛けに、きがつき何倍も楽しめると思う。わたしは力不足です。

魔女のカメレオン日記

      魔法の館にやとわれて
       ダイアナ・ジョーンズ作
       田中薫子/佐竹美保絵
       徳間書店・・定価・・1800円

十二歳で魔法の館に働きに出るという、コンラッド少年の話で・・一緒に暮らしている叔父さんから、あることをやらないと近いうちに死んでしまうと言われ、それを防ぐために、山の上にある館へ行く・・
コンラッドの住む世界も私たちと同じ世界ではなく、たくさんの異世界は地形によって十二の系列に分類されていて、それぞれの系列に歴史的背景が違う世界が九つある。(ただし、系列の十一番目だけは世界が一つだけ)コンラッドが住んでいるのは山が多い第七系列の世界で、私たちの住む世界は第十二系列のB、大魔法使いクレストマシン―が暮らす世界は第十二系列の世界Aとなっている。

運命など信じないと思っていても、身近な人に君は前世にするべきことをしなかったので、ひどい運命が待ち受けている、と言われたら、誰だって気になるだろう。暗示をかけられ・魔法をかけられた、コンラッドの運命は??ハッピーエンドで終わるので楽しいのですが、それまでの魔法合戦は・ぜひ読んで・・

魔女のカメレオン日記

    嘘つきアーニャの真っ赤な真実
        米原 万里 著
        角川文庫  \ 552円
なんと素晴らしい、女性だと、彼女の書くものを、おっかけていたのに・・なんと神は残酷なことをなさる。いきなり泉下行きの列車に押し込まれた。

二十世紀後半の激動の東ヨーロッパ史と彼女自身の歴史をみごとに融合させた、ドキュメンタリーだと思う。
彼女は1960年〜1964年まで当時のチェコスロバキア―にあった(在プラハ・ソビェト学校)に通っていた、学校には五十カ国以上の子供たちが通っていたという。

心をかよわせた、三人の学友との交流、胸をつかれるのは、故国から離れて暮らす子供たちの≪愛国心≫・・≪この時のナショナリズム体験は、異国、異文化、異邦人に接したとき、人は自己を自己たらしめ、他者と隔てるすべてのものを確認しようと躍起になる。
自分に連なる先祖、文化を育んだ自然条件、その他諸々のものに突然親近感を抱く。これは食欲や性欲に並ぶような、一種の自己保全本能、自己肯定本能のようなものではないだろうか≫と彼女は書く。

このような民族感情が民族紛争・国際紛争の火種になっているのだろう。もっと長生きして欲しかった。

魔女のカメレオン日記

    魔術師
        マーリン 上・下
         サイモン・フォワード著
         ジュリアン・ジョーンズ 脚本
         杉田七重 訳
         角川文庫 ¥514円
         
アーサ王伝説に登場するマーリンはあの長いあごひげを生やした老賢人を思い出すがこの本に出てくる、マーリンはあの偉大な魔術師がまだ若いころの話です。

生まれつき強い魔法の力をもつ少年マーリン。だがウーサー王が治めるキャメロットの国では、魔法は固く禁じられ、魔術師は死をもって罰せられる。力を隠しながら生き延びる道を探し始める。

そして、まだ若い王子アーサーと出会う。運命が二人を結びつけているとは知らずに・・偉大な魔術師マーリンが誕生するまでの冒険と活躍が描かれる。本書は現在英国で人気沸騰中のテレビシリーズの小説版とのこと・・日本でも放映されているとのこと、見てみたいと思う。本の世界もまた楽しい・雨の日は是非マーリンを・・

魔女のカメレオン日記

     キャツトと魔法の卵
      ダイアナ・ジョーンズ作
      田中薫子訳/佐竹美保絵
      徳間書店・・定価・・1800円
  
次代クレストマンシーとして城で教育を受けているキャットは、城の近くの村に住むマリアンいう少女と知り合い、魔女だというマリアンの祖母が屋根裏に置いていた卵を貰って孵化させると思いがけない、生き物が現れた。

このシリーズでは、私たちの世界のほかにもたくさんの異世界が存在していることが、基本になっている。その中でも私たちの世界とよく似ているけれど、魔法が非常にさかんなために科学の発達はやや遅れている世界のお話で、この国にクレストマシンー城があり、

クレストマシン―とは、その城に暮らしながら、あらゆる世界における魔法の使われ方を監督し、だれかが悪用しているとわかれば、ただちにそれを正す仕事をしている。クレストマシン―とは人の名前ではなく、政府に任命されてその役をしている人のことで、この話は、彼のひざもと、つまりマシン―城の下にある二つの村の魔法合戦の話である。
シリーズの第一話で,(魔女と暮らせば)に登場したのがキャツトで、その後のキャットとのお話です。クレストマシン―シリーズを読むのなら、(魔女と暮らせば)から入ったほうが理解し易いと思う。


魔女のカメレオン日記


     トムは真夜中の庭で

       フイリパーピアス 作
        高杉一郎 訳
       岩波文庫ー\720円+税

トム少年は弟がハシカになったため、遠い親戚に預けられる。そこは古く変わった建物のアパートメントでホールには背の高い箱入りの大時計があり、チックタク、チックタクとおおきな音がしており、他に人は居ないのか?静かである。

友達もなく退屈しきっていたトムは、真夜中に13時も時を打つ大時計に誘われて、昼間には無かった庭に出る。ヴィクトリア朝のような庭園で不思議な少女と友達になる。トムには見えている人達はトムが見えないらしい。

毎夜13時になるとトムは少女と庭園の探検や、冒険をして楽しい時を過ごす。その少女は夜毎、その遊びによって年齢がすこしずつ違うのだ。その謎はトムが家に帰る時に明かされる。歴史と幻想が織り成すファンタジーです。


魔女のカメレオン日記

  日本人の栄養学講座
  食べ物さん・ありがとう
     先生ー川島四郎= 生徒= サトウサンペイ
      保健同人社  \ 980円
まとまって休みの取れる、お正月は、若い頃は外え出かけたが、今は一年間溜めた本の整理にあけくれる。その中に長年捨てられずにある本を見つけて、もう一度読み返してみる.
今こそ、孫達に読んでほしいと思う。初版発行は昭和60年2月20日とある.さかんに食育といわれている今、ぜひともこの本をひろめて欲しいなーと思う。
こんなにいい本が25年前にでているのに、今の若者達の食生活の乱れはなぜだろうと思う。内容はサンペイさんのユーモラスな挿絵で分かりやすく、楽しく読める、是非是非読んで欲しいと、願う。

 

魔女のカメレオン日記

      映画  カールじいさんの空飛ぶ家 

  お正月の休みに、孫に誘われて、見に行く。今年は正月気分がまるでない。映画館も人が少ない。予備知識なくきたので、3Dとかでめがねが貸し出される。

初体験だ。ディズニー・ピクサーの10本目になる映画とある。カールじいさんは、3頭身の大きな四角い頭に銀髪、蝶ネクタイと、四角い黒ブチめがねがトレードマークで、いつも苦虫をかみつぶしたような顔をしている。
カールじいさんは78歳・遊園地で風船売りの仕事をしてきたが、最愛の妻エリーを亡くして以来、ひとり家にひきこもっている。ずっと二人で暮らしてきた家の周りは、気がつけば開発が進み、工事の音が鳴り響き、カールも立ち退きを迫られる。



喧騒あふれる街から、カールは若き日、エリーとともに夢みていた伝説の場所、パラダイス・フォールを目指そうと決意。その方法は、家に無数の風船をつけて、家ごと大空を翔けていくこと!!!

冒頭でカールとエリーの出会いから、結婚、そして平凡だが幸せな人生が描かれるのだが、これが素晴らしい。ほとんど台詞のないシーンだが、居場所というのは
自分とともに居てくれる、だれか、のことなんだと心から思わされる、本当に優しく美しい場面です。 







ディズニー映画といえば[シンデレラ] [101匹のワンちゃん] 
[わんわん物語]などだが、ディズニーも世代交代だなーと思う。愛と涙がキーワード
だが、あまり言葉を使わずに内容を伝える、映画です。

物語はそこからが本番です。偶然、旅の同行者になった少年・ラッセルとカールの交流や、二人が体験する冒険の数々などわくわくするストーリが展開される。私もカールじいさんにちかい年だが彼のように夢を持ち、その夢を失わないためなら、社会と闘うことも厭わない勇気を持つ老人にならねば、とエールをもらった。


魔女のカメレオン日記

    茨文字の魔法
     
     パトリシア・A・マキリップ
             原島 文世 訳
      創元推理文庫ー\ 940円+税 

海に臨む巨大な断崖にそびえたつ宮殿、その地下の図書館、幻影に満ちた森の上に浮かぶ空の学院。現代の十一邦と、古代世界の大帝国エベン・孤児と女王・覇王と魔法使い・そんな舞台でドラマは始まる。

実にさまざまな形で対になった存在が登場し、時間も空間も超えて、常に両者を結びつけているのが、茨の形をした謎の文字である。物語は、孤児ネペンテス、女王テッサラ、仮面の魔法使いケインを軸にして一見ばらばらな、三種類のエピソードが、徐々につながりを深めていき、クライマックスで一点に収束する。

この作者とは二度目の付き合いである。『オドの魔学校』 他のファンタジーとはおなじ異世界を描きながら、なにかが違うように思う、感性に訴える文章だからだろうか?それとも訳者の個性だろうか?原書を読めぬ悲しさ、もどかしさを感じる。この物語は女が主人公で、愛する男のために仮面の魔法使いとなり彼に全てを捧げてきて、最後は娘を取るというドラマの終わりは、女は産む性(さが)のせいか?何百年も生きる魔女も現世の女も同じ愛に生きているらしい。


魔女のカメレオン日記

     魔法 泥棒
     ダイアナ・ウィン・ジョウーンズ 著
           原島 文世 訳
      

児童文学の分野で大活躍の作者が大人向けに、書いた長編で、多元宇宙というSF
的発想とファンタジーの根幹である魔法が組み合わさり、なんとも複雑な物語です。

英国の魔法活動を管理する鑑定評議会、あるとき、その上層部である内部リングのメンバーが、地球の魔術や科学技術を盗みとっている異世界の存在にきずく。

盗んでいるのは、異世界の本土の上空に浮かぶポケット宇宙らしい。そこには男ばかりが住んでいるらしいと知って、地球の魔法使いたちは、女性を中心とした突撃隊を送り込むことに・・地球の魔女達の奇想天外な襲撃が始まる・・個性あふれる魔女たちが入り乱れ、こみいったストーリー・・にぎやかなファンタジーです。いつものようにワイン片手には読めないストーリーです。

魔女のカメレオン日記

2010年1月1日

2010年の日の出、今年も曇りである。日本も変わる年であり、世界も変わらねば立ち行かない、事に成りそうだ。そして私も変わって、健康に過ごせますようにと、祈る。









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